今回は、フクロモモンガの寿命についてのお話をします。一口に寿命と言っても人間と同じで生活習慣や食生活で変わってくるものです。一般的な情報では、寿命がどの程度なのかなどの内容が多いですが、ここでは、より長く一緒にいられる為に飼育環境や食生活なども踏まえてお話ししていきたいと思います。
Contents
1.フクロモモンガの寿命はどのくらい?
1-1.フクロモモンガは寿命が長い?
生き物を飼育する時に気になるのが寿命です。ピュアアニマルでも寿命についてよく聞かれます。フクロモモンガの名前は聞いたことがあっても生態の細かいことについてはあまり知らないという方は、まだまだ多いです。そんなペットとして飼育されるフクロモモンガの寿命は平均で8年前後、長い場合は10年から12年と言われています。同じ小動物で代表的なハムスターなどは2~3年。ハツカネズミは1年半~2年ぐらいと言われていますので、そう考えるとフクロモモンガの寿命はかなり長いと言えます。
1-2.フクロモモンガが病気になるケース。
フクロモモンガは、比較的病気になりづらい動物だと思います。ですから正しい飼育をしてあげれば長く元気でいてくれます。そんな生命力が強いフクロモモンガですが、環境の変化や生活習慣には、人間同様、気を付けてあげなければなりません。例えば気温の変化。昨今の地球温暖化など激しい気温の変化には、注意を払う必要があります。
フクロモモンガは、通常25度くらいが生活しやすい気温といわれていますが、急激に暑くなる場合は25度でも熱中症になるリスクがあり、逆に急激に涼しくなると低体温症になってしまう恐れがあります。暑い場合には、可能であればエアコンで温度を調整して難しい場合は、小窓を開けて風通しを良くしてあげて扇風機や小動物用の保冷グッズを使うのが有効です。扇風機を使用する場合は、首振りにするなどして、長時間直接フクロモモンガに風が当たらないようにしてください。風を直接当ててしまうと逆に体調を崩す可能性もあります。寒い場合には、こちらもやはりエアコンで温度調節して難しい場合は、温風機や小動物用の保温グッズを利用してください。常にケージに温湿度計を設置し、ケージ内が適温に維持できているかを確認する必要があります。フクロモモンガは暑さより寒さが苦手ですので、特に冬場の保温対策は入念にお願いします。もう一つ注意を払わなければならない問題は肥満です。食事は好物ばかりに偏らず、バランスのとれた食事内容を心掛けてください。食事は赤ちゃんの時期と大人でも変わってきます。
食事の与え方に関しては、下記の「3.フクロモモンガがいつまでも元気でいられる食生活」でもう少し詳しく説明していきたいと思いますので参考にしてください。
肥満のもう1つの対策として、適度な運動をさせる事です。フクロモモンガは夜行性なので昼間は基本的に寝ています。本格的な活動は夜になるのですが、懐いてくれると飼い主とともにスキンシップを取れるようになり、体を動かす機会も増やせます。懐いていない場合は、ゲージから出ると家具の隙間などに入ってしまいゲージに戻すのが大変です。懐くとフクロモモンガは、名前を呼べば飼い主のところに戻ってくる程、飼い主とコミュニケーションが取れるようになります。一緒に遊んであげられるように、フクロモモンガと飼い主の信頼関係を築いてスキンシップを取れるのが理想です。
【モモンガ健康チェックリスト】
下記のチェックリストでフクロモモンガの健康状態の目安がわかります。
【餌食い】与えた餌をいつも通りしっかり食べているかどうかの確認。時々、食べむらもあるので、食欲が落ちても少し経過観察をし、改善が見られないようなら動物病院に連れて行く。
【便の状態】軟便だったり下痢をしたりしていないか、または便秘をしていないかどうか、便の状態をチェックする。ただし、食糞(自分の便を食べる)している可能性もあるので、出来るだけ便をしている姿を確認する事。血便や血尿にも注意。
【行動】生活リズムが乱れていないかのチェック。日常活動している時間に活動し、就寝時間に睡眠を取っているかを確認する。日頃の睡眠時間帯に起きて活動したり、逆に活動している時間帯に起きてこなかったりするようだと、健康面に問題がある可能性も考えられる。
【体重】急激な体重の増減は見受けられないか、できれば定期的に体重測定を行う。また、適正な体重を維持できているかどうかも、その後の病気のリスクや寿命に影響を及ぼす為しっかり管理する事。
【外傷】見た目に外傷がないかの確認。外傷を放置しておくと自傷へと移行していく危険性もある為、多少の傷でも見逃さず、その後の経過観察も重要。
各部位の確認
【耳】耳欠け、かさつき、先端部分の壊死はないか?
【目】眼球(傷や白内障、緑内障の疑い)に問題ないか、目やには出ていないか?
【鼻】くしゃみや鼻水は出ていないか、しっとりして健康なピンク色をしているか?
【口】口内や舌の炎症等はないか、歯並びや歯が欠けていないか?
【腹部】全体を触って、しこりのようなものがないか、下腹部が張っていないか?
【生殖器や排泄腔周り】湿った状態で、炎症やただれといった症状が見受けられないか?
【尻尾】事故や喧嘩で尻尾が切れたり外傷を負ったりしていないか?
【体毛】ストレスやホルモンバランスの異常等で脱毛している箇所がないか?
※少しでも気になる点があれば動物病院などに相談をしてください。
2.フクロモモンガはどのような環境で飼育するのが好ましいのか?
ここでは、フクロモモンガ健康に生活できる為には、どのような環境が望ましいかを使用する物も含めて説明をしていきます。
2-1.フクロモモンを飼育するのに好ましい環境と飼育用品
【ケージ】
赤ちゃんのうちは、ハムスターケージのような、小さいものをおすすめします。成長するにつれて大きなケージに移してあげますが、フクロモモンガは樹上性の動物ということもあり上下運動を好むので、高さのあるケージを選んでください。ケージ内での移動をスムーズにするため、木製のパーチやステージをケージにセットすると良いでしょう。木製のパーチなどは運動や爪とぎもできますので最適です!
【ハウス】
布製のポーチや木製やココナッツをくりぬいたもの等、色々なタイプのハウスがあります。隠れ家となるハウスはフクロモモンガが安心して休める場所となりますので、必ず設置する必要があります。
【食器】
エサ皿は、陶器製の重みのあるお皿、もしくはケージに固定するタイプのものがおすすめです。また給水は、ボトルタイプのものがおすすめですが、モモンガの年齢や個体の状態に合わせて選んでください。
【温度管理グッズ】
フクロモモンガは25度程度の気温でいられるようにしてあげてください。寒いと低体温症で命の危険に晒されます。幼少期および生後5年以上のフクロモモンガには、とくに温度対策が重要になってきます。保温グッズは、さまざまな種類が各種メーカーから発売されていますが、ケージ全体を暖めるタイプのものと、部分的に温めるタイプのものが主流です。また、暑い時はゲージの底を冷やせるひんやりプレートなどを使ってあげると温度調節しやすくなります。陶器のお家なども夏の暑さには良いと思います。室内エアコンも併用してうまく温度管理を行ってください。
2-2.フクロモモンガとのコミュニケーションの取り方
フクロモモンガとコミュニケーションを取る場合の第一歩は、 飼い主の匂いに慣れさせる事です。飼い主の匂いの付いた衣類やハンドタオルなどをゲージに入れてフクロモモンガに嗅がせて飼い主の匂いを覚えてもらいましょう。匂いに慣れてくると飼い主に慣れてきます。懐いてくると、名前を呼べば飼い主のところまで戻ってきてくれるようにもなります。戻ってきた時におやつをあげたりすると、何をするとおやつを貰えるか理解して次の機会も同じように行動してくれます。このようにコミュニケーションが取れるようになると飼い主と楽しく体を動かす時間が出来るようになります。
【もう少しフクロモモンガを知りましょう!】
●フクロモモンガは日光浴する必要があるの?
フクロモモンガは、夜行性ですが、日光浴などさせた方が良いのかというご質問を頂く場合があります。野生のフクロモモンガは普段、木の穴に入って生活しています。木の中には入っていますが、外で生活をしていると何らかの形で紫外線を浴びています。一方、飼育しているフクロモモンガは、家の中で飼っているのであまり紫外線を浴びる機会がありません。そこでどうのようにして、紫外線を浴びれば良いのでしょうか?
日中は敢えて暗くしなくても良いです。夜行性だからとゲージの上から被せ物をしたりする必要はありません。カーテン越しの窓辺にゲージを置いて柔らかい光を浴びるのは良いです。(暑い日は温度に気を付ける必要があります。)
夜は蛍光灯からも微量ですが紫外線は出ていますので、なるべく真っ暗にするのではなく蛍光灯の元で遊ばせてあげてください。紫外線を浴びるのが不充分だと、くる病や骨粗しょう症といった骨の病気になる場合もあるので、適度に紫外線を浴びるよう心掛けてください。
●ゲージの中はあまりキレイにしすぎてはダメ!?
フクロモモンガは、とても匂いを大事にする動物です。ポーチなどを頻繁に洗濯してしまうとフクロモモンガにストレスを与えてしまう事になります。汚れや匂いが気になってきたら定期的に交換しましょう。
排泄に関しては、トイレなど設置して所定の場所でする事は出来ませんが、寝起きに
排泄する場合が多いので、ポーチの外でするよう給餌などのタイミングを計り所定の場所で排泄する習慣をつけてあげれば、自然と覚えてくれる事もあります。基本的に床やステージに落ちた糞尿や餌の食べかすだけを掃除してあげれば、衛生面はある程度保てます。
また、フクロモモンガは水浴びをしませんので、お風呂に入れたり体を洗ったりする必要はありません。毛づくろい(グルーミング)をよくするので、ケアは本人に任せてあげてください。
3.フクロモモンガがいつまでも元気でいられる食生活
3-1.赤ちゃんから子供の時期
産まれてから半年頃までが子供の時期の餌の与え方。
赤ちゃんの時はミルクをメインにして+固形のフード+果物の欠片を朝晩あげると良いでしょう。それ以外にもスポイトでミルクを細目に与えたりおやつをあげたりすることによって、単に栄養を摂らせるだけでなく、懐かせる行為にもつながります。フクロモモンガはかしこい動物ですから、おいしい物を与えてくれる人を確実に覚えます。なお、成長するにつれて、徐々にミルクメインから固形物メインに切り替えをしてください。成長期ですから、ベビー時より動物性の食材を少し増やすことをお勧めします。
3-1.赤ちゃんから子供の時期
成人の餌の与え方。
約半年を経過するとある程度大人と同じ体格になります。この頃から夜1日1食に切り替えていきます。ただし、成長具合は個体によって変わってきますので小さい個体や細めな個体は、成長具合を見極めながら食事の回数や内容を調整してください。
餌は幼少期から健康を考えてフクロモモンガ専用フードをしっかり食べさせてください。偏食をする個体が多い為、好物ばかり与えていると栄養のバランスが崩れ健康や寿命に影響してきます。専用フードを好まない個体は多いですが、しつけ次第で食べてくれるようになります。
【この記事を担当したのは・・・】
ピュア☆アニマル店長 仲谷浩美
当店はフクロモモンガとハリネズミの専門店として今年で11年目を迎えます。私自身もオープン当初よりフクロモモンガと暮らしており、現在11歳のなっちゃんというごく普通(笑)の名前の女の仔がいます。女同士、日々あ~だこ~だしながら仲良く生活しています。フクロモモンガを実際飼ってみて実感したことは、何といってもペットとして本当にお勧めできる動物だということです。愛情を持ってしっかりコミュニケーションを取っていけば、それにちゃんと応えてくれるお利口さんで、とても良く懐いてくれる点が最大の魅力です。より馴れてくれると自分から飼い主さんの服の中に潜り込んだり、滑空して飼い主さんをめがけて飛んできてくれます。これぞモモンガライフの醍醐味です。
また、このサイズの動物にしては寿命が大変長く、全うしてくれれば十数年生きてくれます。長いお付き合いが出来るのもフクロモモンガの魅力のひとつだと思います。
まだまだご紹介したいフクロモモンガの魅力はたくさんありますが、少しずつ発信していきますので次回以降をご期待ください。フクロモモンガのことで悩みや疑問がある方はお気軽に私に相談してください。一緒にフクロモモンガと楽しめる環境を作りましょう!